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想い人

第1章 あなたを想う


蝶屋敷には日々傷ついた隊士達がやってくる
昼は傷の手当て、機能回復訓練で忙しく
夜は夜で鬼を狩る

階級が上がってから柱と合同任務をすることが増えた

その中でも風柱である不死川さんとの任務は毎回ハラハラして生きた心地がしない
何故なら彼は自身の稀血を使い鬼を引き寄せるからだ
自身を傷つけては血を流す
そして傷が増えていく

「不死川さん、そろそろそのやり方やめません?」
「うるせぇ俺のやり方に文句あるなら帰れぇ」

もぉ この人は人の指図は受けないって顔面で語ってる
この人に言うことを聞かせれるのはお館様かカナエさんだけだ

カナエさんは鬼に殺され亡くなってしまった
それからというもののしのぶさんも不死川さんも鬼への怨みが増した

不死川さんはきっとカナエさんを想っていたんだ

「傷、私診ますから...」

はぁとため息をつき不死川の腕の傷を見るためゴツゴツとした腕を手に取る

「好きにしやがれぇ」

最初こそ触るなと怒鳴られていたが合同任務をしていくうちに好きにさせてくれるようになった
 
傷口を消毒し縫合する

「よし、来週蝶屋敷に診せに来てくださいね。勝手に抜糸したりしないでくださいよ?」

縫合が終わるといつもの決まり文句を言う
不死川さんはいつだって無言で帰ろうとする

「ねぇってば!」
「うるせぇな」
「もぉ!」

足が速い不死川さんに必死で着いていく私はこれ以上言うまいと黙る

「おまえなんで俺を気にかける」

それは突然不死川さんから口に出された

「そりゃ心配だからですよ」
「あぁ?心配だとぉ」
「そんな無茶して傷増やされたらこっちがヒヤヒヤしますって」
「そーかよ」

この間も早歩きのままだ

不死川さんはいつだってそうだ
私の目を見て話してくれない



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