第6章 朝帰り
私は自室に戻り支度をする
気持ちに素直になれるかしら...
ふぅと息を吐く
腰ベルトを締めて気合を入れる
「よしっ」
みずきの細い腰はキュッと締まる
今日も今日とて治療に励む
何があったのか
善逸くんと伊之助くんがやる気を出していた
その姿を見かけて私は微笑む
「がんばっ」
小さく応援する
彼らの復帰も近いことだろう
私は昼に時間をつくり煉獄邸へと向かう
「ごめんください」
「高重か!!」
「今日も元気ですね」
「うむ!そういう高重はどこか迷いがみえるな」
鋭い
流石炎柱煉獄杏寿郎
恐るべし
「それは、昼食をとりながらでもどうですか?」
にこやかにそう言えば煉獄さんもニコッと笑い「それもそうだな」と答えた
私たちは街にある定食屋へと向かう
「うまい!」
うまい!うまい!と連呼する煉獄さん
彼はいつもそうだ
静かに食べることができない
私は慣れてるから気にしないけど、周りのお客さんはずっと不思議そうに煉獄さんを見ていた
「それで!何を迷っている」
「昨日、不死川さんから自分の気持ちをもっとぶつけてもいいと言われたんです」
「なに!不死川がか!」
それはそれは驚いていた
「あの不死川と友人だったのか!」
「まぁ友人というか最近よくしてもらっていますね」
「不死川はああいう奴だが根はいい奴だ!」
「それはわかってます」
「うむ!」
話が進まない
「煉獄さんはいつも自身の意思を表に出されていて、怖いと思うときはないのですか」
「怖いとは!?」
「あー嫌われたりしないかって」
「思わんな!」
「...でしょうね」
聞く相手を間違えたとこのとき初めて思った
「煉獄さんが羨ましいです。私はいつでも相手の様子を伺って生きてる」
「それは悪いことではないぞ!」
「っえ?」
「相手の事をよく見ている証拠だ!」
「でも、相手の心理までは読めません」
「それは当たり前だ!心理が読めたら苦労はしない!」
「そうですけど」
「日常でも戦いでも相手のことを観察する!大事なことだ!」
「...」
「それを日頃からできている高重はまだまだ強く熱くなれる!」
不死川さんにも言われた
『まだまだ強くなれる』
私は嬉しくなった
頬が緩む
煉獄さんは相変わらずうまい!と言いながらおかわりをしていた