第6章 朝帰り
「おかえりなさい」
背筋が凍る
「た、ただいま」
朝帰りは初めてだが、別に無断ではない
不死川さんの鴉にお願いしてしのぶさんには伝えてあった
「あの...」
「不死川さんとは仲良くなれた」
「あ、あの...はい」
ゴォっと風が舞う
「そぉそれはよかった」
え、笑顔が怖いっっっ
「中で詳しく聞かせてもらいましょうか」
「っ、」
背中を向けたしのぶさんだったがその背中からも殺気を感じとることができる
しのぶさんの部屋へ導かれる
いや、それに反して自室に戻りでもしたら殺されかねない
「そこに座って」
「はい...っ」
「何をしていたの?」
「別に、話していて遅くなったので夕飯を食べて泊めてもらいました」
すぅと息を吸う音が聞こえる
「...そぉ」
「決してやましいことはしていません」
「別に年頃の娘ですもの、何をしてても文句は言えないけれど...心配してたのよ」
しのぶさんの目の下には薄らと影ができている
きっと寝ずに待っていてくれたのだ
心配をかけてしまった
「すいませんでした」
「今度からはご自分の鴉に伝言を頼みなさい」
「はい」
しのぶさんは不死川さんの鴉が来たから不審に思っていたのだろう
悪いことをしたと思った
「気をつけるわ、しのぶっ...」
「みずきっ!」
初めて私は彼女のことを呼び捨てして呼んだ
私はしのぶより一つ上だ
姉さんであるべきは私だ
それなのにいつも姉さんの役目を買って出てくれるしのぶに甘えていた
「みずき、なにかあったのね」
「...自分の気持ちに素直になるのが怖かったの」
私はしのぶの手握る
しのぶも握り返してくれる
「私はみずきを心から慕ってるわ」
「しのぶ...っ」
だから安心してと微笑んでくれた