第1章 ※月夜の軌跡 9章
は自分の体を1度見下ろし、決意したように頷くと、力の緩まった杏寿郎の腕の中から抜け出して上体を起こした。
「恥ずかしいですが……杏寿郎君の肌を直接感じたいです」
本当に恥ずかしいのだと表情が物語っている。
それでも杏寿郎と同じように……と決心したに思わず杏寿郎の顔が綻んでいった。
「そうか、では先に俺が脱ぐので待っていてくれ」
が先に脱いで恥ずかしい思いを長くしなくてすむよう、杏寿郎は先に自分の帯へと指を掛けて解くと、浴衣を素早く脱いで褌だけの姿となる。
「、脱がしてあげるからこちらへおいで」
広げられた腕より、は鍛え上げられた杏寿郎の体に目が奪われて惚けていた。
「どうした?何か変か?」
「いえ!あまりに杏寿郎君の体が綺麗で……見惚れていました。本当に……綺麗です」
今まで何度か杏寿郎の体を見たことがあったが、こうして間近で直視するのが初めてなので、自分にはつかない筋肉にどうしても目がいってしまうのだ。
「俺よりの方が何倍も綺麗だ。ほら、いつまでも見つめられると流石に俺も照れるので、早くこちらへ来なさい。肌に触れさせてくれ」