第16章 再会
未だに涙は流れているものの目の前にいる自分の子供たちを見つめる表情に笑顔が見えたので、杏寿郎は肩を抱き寄せていた手での手を握って引っ張り皆の前へクルリと回り込んだ。
「生まれ変わったなら必ず君を探し出すから待っていてくれ!また来世でも共に生きよう。それまでこの子たちともお別れなので、抱き締めるなら今だ!さぁ、俺が独り占めしてしまうぞ!」
いつの日か子供たちに向けていた言葉には満面の笑みで応え、一足先に家族を抱き締めている杏寿郎の隣りに腰を落ち着けて、涙を流し続けている家族を抱き締めた。
「あなたたちの幸せをずっと祈っています。また会える日を楽しみにしていますが、どうかすぐに会いには来ないでください。まだまだ長生きして穏やかに幸せに過ごして」
「俺の最期に集まってくれてありがとう。強く果てしなく優しい君たちを俺は誇りに思っていた。お母さんと同様、君たちの幸せを心から祈っているぞ」
自分たちの声は聞こえないし抱き締められている感覚も感じていないはずだ。
そのはずなのに朱莉と紅寿郎はハッと顔を上げてキョロキョロ辺りを見回した。
「聞こえたのでしょうか?」
「ふむ……聞こえてはいないし見えてもいないようだぞ?もし見えたら驚くだろうな!君の今の姿はこの中で俺しか見たことがないほどに初々しいからな!」
「あら、杏寿郎君も出会った頃のお姿になっていますよ?」