第16章 再会
「私の気持ちはせめぎ合っていました。早くお会いして触れたい気持ちと、もっと長生きする杏寿郎君を見守りたいという気持ちが。でも……すみません……こんな時なのに……やっぱり杏寿郎君の腕の中が心地よくて幸せだと感じてしまうんです。家族の皆が杏寿郎君との別れを惜しんでいるのに」
はらはらと頬を伝うの涙を拭ってやり、額に口付けを落とした。
「何を謝る必要がある?こうして再び会える日を楽しみに生きてきたと言っただろう?俺もの温かさが心地よくて幸せだ」
そうして杏寿郎は未だに涙を流すの肩を抱き寄せ、家族が自分の体に寄り添って涙を零している姿を見た。
やはり長年共に生きてきた家族の悲しむ姿は胸にチクリと痛みをもたらすが、その反面自分の命を惜しんでくれている光景は杏寿郎を笑顔にさせた。
「出会いがあれば別れは必ずくる。なに、ほんの少しあの子たちより先に旅立つだけだ。……なぁ、。朱莉の言葉、聞こえていたか?」
「……はい。しっかりと聞こえていました。私も朱莉ちゃんと紅寿郎君の母になれて……すごく幸せでした。また生まれ変わることが出来るのであれば、私は杏寿郎君と出会い妻となって、あの子たちの母になりたいと……強く思います」