第15章 理由
「、朱莉は眠ったか?」
「はい。私たちも寝室へ行きましょう」
と杏寿郎の目の前には布団の中で穏やかな寝息を立てている朱莉と紅寿郎。
2人はそれぞれの頭をそっと撫で顔を見合せ笑顔で頷き合うと、起こさないよう静かに部屋を出て自分たちの寝室へと場所を移した。
「赤ちゃんの時からあまり泣かない子だったので、不謹慎かもしれませんが泣いて甘えてくれる姿が可愛らしいと思ってしまいました」
杏寿郎の脚の間に座り胸元に背を預けるの顔は頬が紅潮して緩んでいる。
そんなを後ろから抱きすくめている杏寿郎も、その楽しそうな雰囲気に釣られて笑みを零した。
「そうだな。腹が減ってもおしめを変えて欲しい時もふにゃふにゃ泣くだけだったので、何度も生存確認をしたくらいだ」
「私もです。かと思えば歩き始めるとよくお喋りをして、目を離せばご近所さん宅にお邪魔して保護されていましたね」
トンデモ少女だったの娘もやはりトンデモ少女だ。
月神家の血を継ぐ女性は基本的にとんでもないのかもしれない。
「お陰でご近所さんには可愛がってもらっている。紅寿郎は見た目も性格も俺に似ているのに、トンデモ行動をする朱莉を真似て今ではここらの名物姉弟だ…… 」