第15章 理由
は手を繋いでいた紅寿郎を抱き上げ、廊下から物凄い勢いで杏寿郎と朱莉の前へと歩み寄りストンと腰を落ち着けた。
「朱莉ちゃん、お母さんやお父さんを想い涙を流してくれてありがとうございます。チラと聞こえた貴女の質問の答えですが、あの屋敷にいた人たちはもうこの世にいません。お母さんはね、鬼に好まれる体質でそれに誘われて来た鬼に屋敷の人たちは……あれです、やっつけられてしまいましたから」
悲しみ涙を流す我が子に
屋敷の者たちは鬼に喰われて死んだ
と衝撃的な言葉を聞かせることが憚られ、何だか不思議な言い回しになってしまった。
これでは鬼が悪いのか屋敷の者が悪いのか曖昧になってしまうが、そこはこの際置いておくこととしたようで、そのまま言葉を続ける。
「確かにお母さんは寿命が短くなってしまったけれど、それがなければお父さんとは出会えていなかったんです。鬼殺隊の大切な仲間の方々と出会うことはもちろん、こうして朱莉ちゃんや紅寿郎君を抱きしめることも出来なかったんですよ。この今の幸せがなかったら……と思うと、それこそ怖くて涙が……」
相変わらず感受性の強いは膝に座らせた紅寿郎ごと杏寿郎と朱莉を抱きしめて、想像を巡らせ頬に涙を伝わせた。