第14章 誰が2番?
父の力は強かった。
強かったのだが、結局杏寿郎は実弥に勝利し……行冥には敗北を期した。
「やはり悲鳴嶼は強いな!来年こそは勝ちたいものだ!」
そして現在、3人は家族仲良く浴槽に浸かっている。
「私も来年こそは初戦敗退しないように頑張ります!……朱莉ちゃん?どうされましたか?」
来年の意気込みを誓っていた2人の視界に朱莉が首を傾げながらと杏寿郎の体を見つめる姿が映し出された。
は何故なのか分からず朱莉と同じように首を傾げその姿を見つめるが、杏寿郎はその理由が分かったのだろう。そっと小さな体を抱き寄せて頭を撫でた。
「さて、体も温まったので出るとしよう!、悪いが俺は明日の稽古の準備をしなくてはならない。夕餉の支度は君に任せても構わないだろうか?」
杏寿郎が朱莉の不思議な行動の理由に気付いているとは何となく理解していた。
いつもならそれを教えてくれるのに教えてくれず、更には別行動を願った杏寿郎の言葉である程度確信に変わりは頷き了承する。
「もちろんです。では私は夕餉の支度をしますので、杏寿郎君は朱莉ちゃんと一緒に明日の稽古の準備をお願いします」
「あぁ。こちらは任せてくれ!」
こうして3人は二手に分かれて各々が望む場所に移動して行った。