第14章 誰が2番?
そして熾烈を極めると思われた相撲は、皆が声援を上げる間もなく終わりを迎えた。
呆然と皆が見守る中、ほんの少し居心地悪そうに勝者である実弥が地面に尻をつく天元を見下ろしていた。
「悪ぃなァ。物心ついた朱莉の前で負けられねぇんだわ」
天元のみに聞こえるように呟いた実弥の右頬には風車の痣がくっきりと顕現している。
過去2回、実弥は何の運命か天元と試合を行ってきたが、痣の出ていない天元には素の力で勝つのだと痣は顕現させなかったのだ。
「えぇ……それは俺もだったんだけど。クッソ、今んなって痣者なっときゃよかったって思うぜ」
自分たちを慕ってくれている子の前でいい格好を見せたいのは男の性なのかもしれない。
しかし3つの子供相手にそれを見せつけたとて、何かが変わるわけではないので本当にただの見栄なのだろう。
「やめとけ、嫁さんにガキもいんだろ。抑制剤ももうねぇんだ……おら、さっさと下がれやァ。後はあそこで幸せそうにしてやがる煉獄倒しゃあ悲鳴嶼さんへの挑戦権を手に出来んだ」
「あぁ……そうだな。うっし、じゃ、煉獄の代わりに朱莉抱っこしててめぇを応援しててやる!負けんなよ!」
少ししんみりした空気を振り払うように天元が下がると、それと入れ替わり杏寿郎が実弥の前へと気合い満々の笑顔で現れた。