第14章 誰が2番?
結局第1戦を勝ち残ったのは予想通り、名前を書いた者4名。
どうやら次は杏寿郎と義勇のようで、相反する呼吸の技を使っていた2人が真剣な顔で構え合っている。
「八卦よいーー」
「「どっせぇーいっ!」」
行冥が試合開始の合図を出すと同時に、杏寿郎はともかく今までの義勇では考えられない掛け声が庭に響き渡った。
「おぉ、おぉっ!あいつら気合い入ってんねぇ!ま、煉獄、不死川、冨岡は力が均衡してっから、気合いがモノを言うんだろうが」
目の前で繰り広げられているものはもはや何の競技か初見では分からない。
分からないが、天元の言う通り2人の力は均衡しており一瞬でも気を抜いた方が負けとなるのだろう。
「お父さんの気合いに負けないように、朱莉ちゃん。お父さんに頑張れーって応援してあげて下さい!」
ニコニコと笑顔で語りかけてくれるに朱莉は頷き、しがみつくようにしていた母の体から離れちょこちょこと鬼気迫る勢いで技を出し合っている2人へと駆け寄って行く。
「あ、あれ?!朱莉ちゃん、危ないですよ!早くこちらに……」
幼子と言えど杏寿郎との娘。
が手を伸ばした時には既に手の届かない所へ歩を進めてしまっていた。