第14章 誰が2番?
そしてが朱莉を捕まえる前に2人の側に辿り着いた。
「お父さんっ!!お母さんのくやしい気持ち、わすれないで!がんばって!」
普段の杏寿郎の声音に負けないほどの大きな朱莉の声は杏寿郎の闘志に火を灯し……義勇の気を散らせた。
「せぇいっ!」
そして義勇は土俵の外に投げ出され、杏寿郎の勝利に終わった。
「朱莉!君の声援は素晴らしいな!思わず鬼を滅する時と同じ勢いが出てしまった!おいで」
父の笑顔を見て勝てたのだと理解した朱莉は満面の笑みとなり、差し出された腕の中に駆け寄ってギュッとしがみついた。
「朱莉のお陰で勝てたぞ!だが試合中に近くに来ると危険だ!次からはお母さんの側から離れず応援してくれるか?怪我をしては大変だからな」
「はい!お父さんも義勇お兄ちゃんも怪我してない?」
笑顔で頷く杏寿郎の顔を見た後にその肩口から顔を覗かせると、なんて事ないと言うように義勇は首を縦に振って朱莉の頭をポフと撫でる。
「心配ない。お前も怪我はなさそうだな。さて、次はお前の好きな不死川と宇髄の試合だ。どっちを応援する?」
また天元と行冥に放り出されないよう朱莉を抱えて歩く杏寿郎の隣りで義勇が変わらずニコニコしている朱莉に問い掛けると、目を丸くしながらコテンと首を傾げた。