第14章 誰が2番?
「なかなか粘るではないか!だが一家の大黒柱で君たちを守るものとして負けるわけにはいかない!」
「この日のために門下生の方々にお付き合いいただきましたので!私も負けるわけには……え?」
一瞬の隙をつかれてしまった。
ベルトだけは掴まれないようにと警戒していたのに、杏寿郎にそれを掴まれて体がふわりと浮き上がった。
こうなってしまってはいくらもがこうが杏寿郎の手から逃れることは叶わない。
「悪いな!土俵の外に出てもらうぞ!」
「出たくありません!嫌です!下ろしてください!」
ピシッ
闘いを見守る皆に杏寿郎の胸の何かがひび割れる音が聞こえた……ような気がした。
昔に杏寿郎のもとを離れようとした時には全力で杏寿郎を拒否したが、それは杏寿郎や鬼殺隊を想っての行動だった。
しかし今は試合とは言え、杏寿郎に抱えあげられている状況をは全力で拒否している。
その状況が杏寿郎の胸に僅かなヒビを入れた。
「むぅ……何とも心引き裂かれる叫びだな……すまない、後で存分に甘えさせてやるので今は我慢してくれ!」
そのひびにどうにか糊を塗り込み、杏寿郎は心を鬼にして暴れ狂うの足を土俵外にちょんと着けさせて……そのまま抱き締めた。