第14章 誰が2番?
「ふむ!こうなるような気はしていた!君が相手であっても容赦はしないぞ!君も全力でかかってくるといい!」
「もちろんです!朱莉ちゃんの前で呆気なく負けるような醜態は晒せませんので!」
鬼殺隊式柱相撲大会。
つまり皆は鬼殺隊時代の隊服を身に付けている。
羽織を羽織っていたものは羽織も纏い、成長した無一郎に限っては隊服を新調する徹底ぶりだ。
2人が見合っている所に行司として現れたのは行冥。
力が圧倒的過ぎて途中は参加せず、この相撲大会の王者として最終戦のみ試合を行うのが行冥である。
「双方、準備はいいな?八卦よい……残った!」
行冥の手が振り下ろされると同時に2人の顔には痣が色濃く浮かび上がり、相撲のはずなのに激しい体術の応酬が繰り広げられた。
「お父さんとお母さん、ケンカしてるの?」
見たことのない父と母の険しい表情に朱莉は涙目になりながら近くにいる天元の足元に縋り付いたので、天元は片腕で軽々と小さな体を抱え上げて頭を撫でた。
「喧嘩じゃねぇよ!煉獄と姫さんのどっちが強いか力比べしてんだ!姫さんも強えだろ!」
普段杏寿郎もも笑顔なので目の前の2人は朱莉にとってまるで別人のように映った。
しかしそこは肉体派夫婦の娘。
もはや相撲なのか疑問が湧く2人の体術の掛け合いに釘付けとなった。