第13章 あかり
「そのような願いは私にとってご褒美です。もちろんです、私も杏寿郎君の温かさを感じたい……いっぱい抱き締めてください」
ふわりと微笑みながら両手を広げたに杏寿郎は薄らと涙を浮かべ、朱莉を起こさないよう静かにの側へ移動してその腕の中に身を滑らせ変わらず細い体を抱き締めた。
「……やっと安心出来た。ちゃんと温かい…… の笑顔や朱莉が幻だったらと思うと怖くて仕方がなかった。父となったのに情けない話だ」
「情けなくなんかありません。そんなにも想ってもらえる私も朱莉ちゃんも幸せ者です。大丈夫、私は幻ではありません。明日も明後日もずっと杏寿郎君のお側にいます。一緒に朱莉ちゃんの成長を見守り育てましょう」
は背に回していた手を杏寿郎の頬に当て、自分の方を向くようにゆっくりと掬い上げて口付けを落とす。
「杏寿郎君、大好きで愛しています。温かく優しく、いつでも慈しんでくださる杏寿郎君が堪らなく愛しいです。これからも……よろしくお願いいたします」
珍しいの行動は杏寿郎を想ってのもの。
それを痛いほどに理解している杏寿郎はの唇に自分のものを重ね、今度は自分が少し上に体をずらしを胸の中へとおさめた。