第13章 あかり
「まだ体が辛いだろうに……感謝している。どうかもう少しだけこうして抱き締めさせてくれ」
「それがですね、もう体はほぼ回復しているんです」
すぐに無理をするの言葉は杏寿郎に流されてしまい、引き続き労わるように背中を撫でられた。
「また君はそんなことを。産後は体が辛いと聞く。無理はいけない、俺はを失いたくないんだ。どうか無茶はしないでくれ」
信じてもらえないは過去の自分の行いを反省しつつも、背をさすってくれる杏寿郎の温かさが心地よく胸元へと更にすり寄っていく。
「本当ですよ。お狐様の御加護のお陰様ではないかと思うのです。でも、もう少し体を休めます。こうして杏寿郎君に甘えさせてもらえるのが幸せで胸がポカポカするので」
「む……本当だったのか?そうか、お狐様の御加護は何とも有難いものだ。君の体が本調子になればご挨拶に向かわなくてはな。朱莉も一緒に」
幸せで胸がポカポカすると言われた杏寿郎はそれが続くようにとギュッと抱き締め、を自分の体の上に乗せて朱莉が見えるようにしてやった。
「はい。お狐様と朱莉ちゃん、お2人が並ぶとさぞかし可愛らしいのでしょうね」
ニコニコ微笑みながら上掛けから出ている手を指でつつくと、やはりキュッと力強く握ってくる。
その様子に2人は顔を見合せ笑い合いながら、しばらくこの格好のまま寄り添い時を過ごした。