第13章 あかり
あの後、皆はの元気な姿を見るまでと言って、槇寿郎や千寿郎も含めて煉獄家に泊まることとなった。
「フフッ、朱莉ちゃんは人気者ですね。私も嬉しい限りです」
皆が寝静まった夜更け。
と杏寿郎は小さな籠に入り静かに寝息を立てる朱莉を挟んで布団の中で体を休めていた。
「人気者過ぎて誰が次に抱っこするかとジャンケンが始まっていたぞ。全く泣かず皆に愛想がいいので余計だろうな。、少し頼みがあるのだが……」
朱莉を撫でていた手を伸ばし、杏寿郎はの頬に触れた。
その手は僅かに震えておりは穏やかに微笑みながら手を重ね合わせて頷き返す。
「杏寿郎君の願いならば何でも叶えます。どうされましたか?」
「少しの間で構わない……抱き締めさせてもらえないだろうか?君の体温を感じさせて欲しい。元気なのだと実感させて欲しいのだ」
命を新たにこの世に生み出すのは命懸けである。
万全の体制を整えていたと言えど命懸けであったのは間違いなく、杏寿郎にとって無事に分娩が終わるまで生きた心地がしなかったのだ。
今でも2人が元気な姿は夢なのでは……と不安を抱いているからこそ出た願いだった。