第13章 あかり
「月神と煉獄の子なら優しく強い子に育つのだろうな。だが月神にそっくりならば、煉獄の心配事が2倍になりそうだ」
しんみりした空気は小芭内の言葉によって皆の笑いを誘い、一斉に笑顔が杏寿郎に向けられた。
「アハハッ!確かに!ちゃんって鬼殺隊時代は無茶ばっかりして皆の胃を煩わせてたもんね!そのお陰で俺も生きてるんだけど」
「しかも月神は何かと厄介な事柄に巻き込まれていたな。この子は母である月神が苦労した分、穏やかに過ごして欲しいものだ」
次々とがやらかしたり巻き込まれたことが暴露されていく。
決戦以前の様子を知らなかった涼平は皆から聞かされるの日常に今にも倒れそうである。
その様子を苦笑いで眺めている所へ、義勇が杏寿郎と炭治郎のもとへテチテチとやってきた。
「……煉獄、俺にも抱かせてもらえないだろうか?鬼の目にも涙を流させた朱莉に興味がある」
何故だろう。
言っていることに間違いはないし、鬼殺隊時代と比べて表情豊かになりにこやかに言っているのに、義勇は実弥の地雷を踏んでしまう。
「てめぇ……誰が鬼だコラァ!朱莉居なけりゃぶん殴ってんぞ!」
「?!」
心外だと言うように目を見開く義勇と眉間に皺を寄せる実弥の間に、杏寿郎は炭治郎から朱莉を受け取り割って入った。
「ほらほら、喧嘩をしては朱莉が泣いてしまうぞ!……それにしても朱莉は全く泣かないな!」
結局朱莉は一切愚図ることなく、皆に存分に愛でられていた。