第13章 あかり
「可愛らしいだろう!瞳の色以外にそっくりなので、きっと将来は美人になるぞ!……不死川も撫でてやってはくれないか?皆が守り育ててくれたが命懸けで繋いでくれた子なんだ」
遠巻きに朱莉を眺めていた実弥は杏寿郎の言葉に頭を掻きながら頷いて歩み寄り、今は炭治郎の腕に抱かれ元気に手足を動かしている朱莉を覗き込んだ。
「あぁ……本当にあいつにそっくりだァ。可愛いなぁ……無事に、生まれてくれて良かった……」
そっと頬を手で包み込むと、いつの日かチラと見たの姿が目に浮かんだ。
当てた手に頬を擦り寄せる朱莉の姿は、初詣の際に天元の手に頬を擦り寄せたと同じだった。
今まで鬼殺隊で多く失ってきた皆に……実弥にとって新たに生まれ来てくれた目の前の赤子は眩しく、知らず知らずのうちに頬を涙が伝った。
「この子は自分以外の人を助けるために命を賭けられる尊い人たちが繋いでくれた子だ。不死川が最終決戦の際にを俺の元に誘ってくれたからこそ……生まれた命なんだ。この子……朱莉に皆のことを少しずつ伝えようと考えている」
杏寿郎の穏やかな声音は皆の胸に優しい痛みを運び、それぞれが瞳に涙を薄らと浮かべさせた。