第13章 あかり
朱莉の柔らかな頬を指で撫でながら居間へ到着すると、槇寿郎や千寿郎、涼平が我先にと杏寿郎の元へと駆け寄って来た。
「ぶ、無事に生まれたのだな!」
「うわぁ!兄上、可愛らしいですね!」
「よかった!も元気なのかい?」
次々と問いかけては朱莉に触れる男たちに杏寿郎は穏やかに微笑んで、1つずつ丁寧に答えていく。
「この通り朱莉は無事に元気に生まれてくれました!千寿郎、お前の姪っ子だ!これからよろしく頼むぞ!そしては疲れは見えるものの、元気でいてくれています!今は横になって休んでいます」
杏寿郎の言葉に一同が安堵のため息を漏らし、今度は仲間たちがわらわらと集まってきた。
「マジで女子だったのかよ!てか姫さんにそっくりじゃねぇか!やべぇ、派手に可愛いな!」
「本当だ!にそっくりだ!わぁ、妹とか弟たち思い出すなぁ!煉獄さん、よければ抱っこさせてもらえませんか?」
兄弟の多かった炭治郎は朱莉の頬を指でふにふにしながら、兄弟が生まれた時のことを思い出すような穏やかな笑顔で杏寿郎に視線を送った。
そんな炭治郎の願いを退ける訳もなく、杏寿郎は大きく頷いて少し屈み炭治郎の腕の中へと朱莉をそっと移動させてやった。