第12章 好きなもの
「俺も知らない!見たことも聞いたこともなかったので興味をそそられたんだ!可愛らしい名前だからが喜んでくれるのではとの考えもあった!」
味や見た目を知らないながらもそれを注文したのは、杏寿郎にとって後に言った事が茉莉花茶を選んだ一番の理由だろう。
それを感じ取ったは両手をポンと合わせ柔らかく微笑んだ。
「ありがとうございます。茉莉花茶、すごく楽しみです!あとアイスクリンもどのような味でどのような見た目かワクワクします!杏寿郎君は食べたことがありますか?」
「君は何に対しても楽しみにしてくれるから見ているだけで満たされるな!アイスクリンも食べたことはない!聞いた話によると」
『お待たせいたしました』
何とも絶妙な頃合で全てが運ばれてきた。
パンケーキにアイスクリン、茉莉花茶が入っていると思われる陶器製のポットやカップが2人のテーブルに次々と並べられていく。
(アイスクリン!周りに果物がたくさんです!白くて丸くて……冷たそう?華族のおやつはこんな感じなのでしょうか?)
店員の手元を猫が猫じゃらしを目で追うように永遠と追いかけるものだから、杏寿郎だけでなく店員もクスリと笑いその表情を楽しんだ。