第12章 好きなもの
そんなを恵比寿顔で愛でながら促し入ったのは甘味処と言うよりも洋風な喫茶店。
店員の仕事着も着物ではなく洋服であまり馴染みがなく、元田舎娘のは品書き……メニューの文字を目でなぞりながら落ち着きなくソワソワしている。
「か、可愛らしいお店ですね!その……見たことのない名前が連なっていて……杏寿郎君はどれにするか決まりましたか?」
自分に向けてくれていたメニューには片仮名が羅列され、お値段は店の雰囲気と合間うように……いや、裏腹に可愛らしくない。
それを半ば目を回しながら杏寿郎へと向け、自分では判断出来ない色々を杏寿郎へと委ねた。
「確かに可愛らしい店だ!今日は赤子が動き出した記念すべき日なので好きなものを頼めばいいが……ふむ、俺はこの茉莉花(マツリカ)茶なるものとパンケーキでも頼むとしよう!はどうする?今日は少し汗ばむのでアイスクリンなどはどうだ?」
指でテンと示されたのはやはり見たことのない片仮名の羅列。
杏寿郎はアイスクリンなるものの正体を知っているようなので、自分では何がなにやら判別出来ず決められないは、それに決めましたと意思表示するために何度も首を縦に振った。