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月夜の欠片

第11章 お披露目


「実弥お兄さんは本当にお優しいですね。ご心配ありがとうございます。しのぶさんに言っていただいたんです、お腹の子を1番に守れるのは母親である私だって……必ず守り抜くと誓います」

何度聞いたか分からない言葉。

最終決戦で自分が瀕死に陥るまで誰かを守り助けたの言葉は、この場の誰もが信じるに値するものであった。

「あぁ。お前がそう言うなら赤子は順調に育つんだろうなァ」

「が守ると言うならば必ず守ってくれる!俺も可能な限りそばで守る心積りだがな!……家の中の段差をなくすことも検討しなければ」

いそいそと立ち上がり襖や障子の溝を見て回る杏寿郎の後を追うように、実弥も家の中の至る所を見て回り始めた。

「ねぇねぇ、不死川さんってちゃんのこと……」

「甘露寺、そろそろ行こうか。あまり大人数で長居しては月神も落ち着かないだろう。それに気に入りの食事処が閉まってはいけないからな」

蜜璃の先の言葉を遮り小芭内は立ち上がって手を差し伸べた。

柱の中で1番の友の心の葛藤を掘り起こすことが出来なかったのだろう。
しかも目の前にいるは実弥の葛藤に気付いていないので、本人が望んでいないのに知らせるのは何となくいけない気がした。

「え?あ、はい!そうですね!ごめんね、いきなり押しかけちゃって!また時々伺わせてもらうから、その時はお腹触らせてね!」
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