第11章 お披露目
小芭内の手を取り立ち上がった蜜璃は初めこそキョトンとしていたものの、やはり大好きな人に触れられるのは嬉しいようですぐに可愛らしい笑顔となった。
「いえ!こちらこそお待たせした上に大したおもてなしも出来ず申し訳ございませんでした……杏寿郎君、実弥お兄さん!蜜璃ちゃんと伊黒様が帰られるとの事です!一緒にお見送りを……あれ?お2人の姿が見当たりません」
いつの間にやら部屋から姿を消してしまった。
「構わない。……何か2人で話すことがあるのだろう。月神も見送りはしなくて大丈夫だ。煉獄がいないところで怪我をさせては申し訳が立たないからな」
「うんうん!それでも気になるのがちゃんだから、そこの縁側から手を振ってくれるかしら?それだけで私たちはすごく嬉しいから!」
立ち上がり玄関へと足を向けようとしたの手を蜜璃が取って、ゆっくりと縁側へと誘ってくれた。
いつまでも変わらない2人の優しさに心を温かくしてもらったは、大人しくそれに従って縁側に腰掛け仲良く腕を組んで屋敷を出る2人を見送った。
「帰っちゃいました。杏寿郎君と実弥お兄さんはどこに行かれたのでしょうか?外には出ておられないはずなので……お茶を入れ直して来ようかな?」
特に込み入った話をしていたのではなく、真剣に家中の段差と言う段差を調査していただけだった。
どうにかして段差をなくす算段を立てていた2人が居間に戻るとの姿が見えず、血相を変えて探したのは言うまでもない。