第11章 お披露目
「で、元呑んだくれの親父と弟の千寿郎の反応は……って聞くまでもねぇかァ」
「聞かなくても喜んでたって分かるわ!可愛い息子と可愛いそのお嫁さんに赤ちゃんが出来たんだもの!あ、千寿郎君にとっては大好きなお兄さんとお姉さんだけど!」
「……まぁなんだ。元の父親に戻ってよかったな」
温かさに包まれながら帰ってきた我が家で待機していたのは、実弥と蜜璃と小芭内。
何でも蜜璃と小芭内は最近お付き合いを始めたようで、2人でお出掛けする前に少し寄っていこうという話になったらしい。
……実弥は言わずもがなである。
「ああ!父上も千寿郎もものすごく喜んでくれていた!父上は喜びの余り震えながら母上に報告に向かわれたくらいだったぞ!」
孫の顔は見られるのだろうか……と肉体派な夫婦の行く末を案じていた槇寿郎は思いの外早く来た朗報に、こっそり仏間で涙を流していた。
それを知るのは誰もいないが。
「そうかよ。おい、。散々全員から言われただろうが……走って転けるような真似すんじゃねぇぞ。お前の泣く顔なんて見たかねぇからなァ」
声音は優しいのに表情は鋭い。
それほどにまで心配してくれているのだろう。