第11章 お披露目
問診などを繰り返した診断結果。
『まだ初期なので断定は出来ないが、月のモノが止まっており妊娠時の症状が出ていることから妊娠している可能性が非常に高い』
であった。
妊娠を確定付ける機材などないので、医者の言葉が何よりも信頼度のあるものとなる。
「!赤子を授かったぞ!君といると嬉しく幸せなことしか訪れない!父上や千寿郎、お義父さんやお義母さんにご報告せねばならないな!」
「はい!私もすごく嬉しく幸せな気持ちばかりです!帰りにお義父さまと千寿郎君にご報告に参りましょう!お父さんとお母さんには神楽夜さんにお手紙を届けていただき後日直接お知らせを!」
医者や産婆、しのぶが目の前にいるなんて何のその。
普段は杏寿郎に人前で抱きしめられると赤くなるも今は喜びが勝っているのだろう、腕の中におさまり満面の笑みだ。
「あらあら、フフッ。仲良しさんですね!それは良いとしまして…… ちゃん、貴女のお腹には小さな小さな命が芽生えています。私も出来る限りお力になれるようにしますが、その小さな命を一番守れるのは母親である貴女です。くれぐれも無茶をしないで下さいね」
やはりしのぶにも釘を刺された。
「はい!かしこまりました!」
元気な返事はやはり杏寿郎としのぶの心配を掻き立てたが、の笑顔が眩しく窘めるのは控えられたようである。