第11章 お披露目
「はい。杏寿郎君は出会った頃からずっと……私が心配しないですむよう気にかけて下さっていました。私もそのようになりたくて実践してみるのですがうまくいきませんね。これからはきちんと報告するように致します。私のワガママで命を失うわけには参りませんから」
初めて出会った時から今までは杏寿郎の背中を追い続けている。
逞しい背中は前にあるだけで安心感を覚え、溌剌とした笑顔は太陽のようで近くにいるだけでこちらも笑顔になるものだ。
「私には私にしか出来ないことで頑張ります!まずは無茶をしない……から実践しなくては!」
気持ちを切り替え顔を上げたの表情は気合いに溢れており、それに杏寿郎と天元は大きく頷いた。
「それでいい。前にも言ったが君は俺では無いのだから自分らしさを貫くべきだ!人それぞれ持って生まれてきたもの、取り巻いていた環境で違うものを携えているからな!」
「そうそう!てか無茶しねぇってそんな気合いいることか?……姫さんの場合は必要だな!いつも通りだと家ん中で受け身取りかねねぇし!」
天元にそれを見られたのは花街の任務に赴く前。
人に忘れて欲しい言動ほど人は忘れてくれはしない。