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月夜の欠片

第11章 お披露目


「ああ!産後しばらくして落ち着けば再開させるといい」

ひとまず無理をしない約束を取り付け、鍛錬や稽古も産後までしないとが笑顔で頷き返してきたので体を再びクルリと回して庭の方へと戻してやった。

すると目の前にはいつの間にやら天元が鎮座していた。

「胡蝶に聞いたが、ほぼ赤子を身籠ってるって話じゃねぇか!派手に目出てぇ!てか姫さんよく気付かなかったな……今で3か月だろ?吐き気とかなかったのかよ」

縁側に座る2人と視線を合わせるために前屈みとなっている天元の表情は苦笑いである。
それに2人は笑顔を返し、は大きく温かな手が当てられたままの自分の下腹部へと視線を落とした。

「それを悪阻……と言うらしいですね。体がポカポカしたり眠気はあったのですがそれ以外は全くなくて。どこか体が悪いのではと不安に思っていたので、赤ちゃんがいるかもしれないと教えていただき驚きました」

「そっか!まぁ悪阻も人それぞれらしいからな!だがこれからは体調に違和感感じたらすぐ煉獄に相談しろよ?赤子がいるなら姫さんの命は赤子の命に繋がんだ。我慢すんな、迷惑かもとか考えんな。分かったか?」

聴力の優れた天元は演武後の2人の会話が聞こえていたのだろう。
苦笑いから真剣な眼差しへと変えた天元へ慎重に頷き返し、はそっと下腹部にある手に自分の手を重ね合わせた。
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