第11章 お披露目
そうしては無事に皆の舞が出来る部屋の縁側へと移動を果たした。
布団に身を包み後ろから杏寿郎に抱きすくめられる姿で……だが。
「ふむ……よもやこれほどまでだったとはな。、気分が悪かったり寒かったりはしないか?」
「はい!少しの恥ずかしさで体はポカポカしています。ありがとうございます、私のワガママを聞いてくださって」
後ろからだとの表情は見えないものの、その声音は弾んでおり嫌というほど嬉しいのだと伝わる。
きっと笑みを浮かべているに違いないと思った杏寿郎の表情も緩々となった。
「礼には及ばないぞ!と赤子を守るのは俺の役目だからな!」
しのぶからほぼ身籠っていると説明を受けたので杏寿郎の中では既に赤子が出来たと結論付けられている。
少し気の早い杏寿郎に水を差すはずもなく、は舞に夢中で前のめりだった体を少し後ろに倒して胸元に背を預けた。
「杏寿郎君に守っていただけるならば何よりも安心出来ます。生まれてくる赤ちゃんも私と一緒で、杏寿郎君の腕の中が大好きになってしまうのでしょうね。これからは私と赤ちゃんの特等席になります」