第11章 お披露目
しのぶからの問診を受けた後、はあれよあれよという間に布団を体に巻き付けられ、その状態のまま危うく部屋で寝かされそうになってしまっていた。
と言うのも、しのぶにとっても初めての経験なので赤子を授かっているのかそうでないのか判断がつかず、産屋敷家お抱えの産婆が到着するまで大事を取らせようとしているのだ。
「お布団にくるまったままでいるとお約束します!ですので皆さんの舞が見えるお部屋に移動させてください!本当に赤ちゃんがお腹にいたとしても杏寿郎君と私の子です、頑丈に違いありません!」
どこからその自信が湧いてくるのか……本気でそう思い発言しているようで、瞳は嘘偽りの色を全くもって映してはいない。
しかもと杏寿郎の赤子と言われると妙に説得力があり、しのぶは小さく溜め息をこぼして庭に置き去りにしている杏寿郎を部屋へと引っ張って来た。
「……とのことです。春といえど風は冷たいですので、私はお部屋の中にいた方がいいかと思いますよ。まだ確かではないにしても身籠っている可能性が高いですからね」
しのぶからこの部屋に呼ばれた経緯を聞いた杏寿郎は、布団にくるまれたまま自信に満ちた表情を向けてくるに苦笑いを浮かべ頭にポンと手を置いた。