第11章 お披露目
「あ……そ、それは……確か2ヶ月ほど前からでしょうか?こんなことは初めてで……恥ずかしさもありましたので聞くに聞けず。やはりどこか悪いのですか?」
自分の体に異変が起き日々不安と闘っていたのだろう。
それでも杏寿郎の前ではその不安を一切見せることなくこの日まで過ごして来た。
杏寿郎に促され打ち明けた今、その不安が一気に押し寄せてきたと言うようにの瞳には涙が浮かんだが、杏寿郎の瞳には不安から来るものではない涙が浮かんできた。
「まだ断定は出来んが君の体に悪い所はない」
ゆっくり労わるように進めていた歩みを止めて杏寿郎はの体を優しく腕で包み込んだ。
「の中に命が芽生えたんだ。と俺の赤子が息づいている!胡蝶に確認してみよう!うむ、間違いないはずだ!」
抱きすくめた腕の中からピョコと顔を出したの表情から不安は一切なくなり、目を大きく見開いて今の杏寿郎の言葉を繰り返した。
「赤子……杏寿郎君と私の……赤ちゃん?」
「ああ!赤子が宿ると月のモノが止まると聞いたことがある!、君と俺の子供を授かったのだ!」
杏寿郎の大きな声は庭全体に響き渡り、しのぶによっては屋敷の中へと連行されて行った。