第11章 お披露目
「姫さん……煉獄の言葉を借りるが……すっげぇ愛らしいな!え、どうしよ……煉獄、姫さんすっげぇ可愛いんだけど!抱きしめても」
「それは許可し兼ねるな!は俺の妻だ!愛らしいのは今に始まったことではないので見て満足していてくれ!抱き締められるのは俺だけの特権なので、その特権を君はもちろん他の者に取られる訳にはいかない!」
残念ながら天元の願いは呆気なく拒否された。
しかし天元は杏寿郎の返答を予測していたのでガッカリすることはなく、苦笑いを零しながらの頭を撫でるだけに留めた。
「だってよ、姫さん!ま、何にせよ微熱であっても熱がある事には変わりねぇんだ。ぶっ倒れて煉獄が顔面蒼白になる前に、気分が悪くなったらすぐに言えよ?俺も姫さんと舞いたいが今日絶対って訳じゃねぇ。無理だけは絶対すんな」
「えっと……それはお約束します。本当に大丈夫なのでご心配には及ばないと思いますよ?と、とりあえず皆さんがいらっしゃっているかもしれませんので、お庭に移動しませんか?素敵なお2人に囲まれて移動していてはドキドキして倒れてしまう恐れがありますが」
本当にそう思っているのだろう、顔を見上げてくるの顔は薄紅色に染まったままで……少しにやけているように見えなくもない。
「……君がそれを言うのか?しかし君が倒れてしまっては俺の心臓が飛び出しかねないので抱えて行ってやろう!」
自らの発言により抱えあげられそうになったはどうにかそれを辞退し、長身で衣装がいやに似合う2人に囲まれて庭へと移動を始めた。