第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
どうやら自分の誕生日をすっかり忘れていたらしい。
一瞬時間が止まり目を丸くしたが、瞬く間に太陽のような笑顔へと変化していく。
「よもやよもやだ!まさか誕生日を祝ってもらえるなど思ってもなかった!2人ともありがとう!それにこの料理と飾り……全て千寿郎とで準備してくれたのか?」
卓袱台の上には所狭しと杏寿郎の好物ばかりが並んでおり、千代紙を鎖状に繋げた飾りが部屋の壁一面に飾り付けられている。
料理に関しては2人で頑張って作ったが……飾りは槇寿郎にも設置を手伝ってもらった。
それを伝えたくてウズウズしている様子が杏寿郎に疑問を抱かせてしまう。
「この飾り……君たちには届かない位置に」
「そんなことありません!ピョンと跳躍すればこれくらいわけないです!」
しかしバレる訳にはいかない。
槇寿郎の気持ちを重んじなければ、また塞ぎ込んでしまってはことだ。
「ふむ!飾り付けにまでは鍛錬を組み込んだのだな!感心だ!成長が楽しみだが……そろそろ頂いても構わないだろうか?腹の虫が限界だと泣き止まんのでな!」
やはり杏寿郎の腹はグゥグゥ泣き続けているので、慎ましやかに、でも笑顔に溢れた杏寿郎誕生日会が開始された。