第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
大量の薩摩芋料理や菓子は余すことなく3人の腹へとおさまり、楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていく。
たった3人で催された誕生日会だったが、ここ数年で1番賑やかで笑いが絶えなかった。
飾りも全て外しいつもの姿を取り戻した部屋は見慣れたはずなのに、なぜだかもの寂しく感じる。
今はすっかり日も暮れて部屋内は行灯の明るさだけである。
「今日は楽しかった。それもこれもと千寿郎のお陰だ。感謝してもしきれん。本当にありがとう。今度は2人の誕生日も祝わなくてはいけないな!の誕生日はいつなのだ?」
杏寿郎も千寿郎ものここにきた当初の年齢は知っていたが、そういった話しをする機会がなかったので互いに誕生日を知らぬままこの日を迎えた。
「喜んでいただけてよかったです!千寿郎さんのお陰様ですね。私のお誕生日は3月31日なので、また来年を楽しみにしています!」
「「え?!終わってた?!」」
いつの間にか…… はひっそり17歳を迎えていた。
今はまだ5月、の誕生日を杏寿郎と千寿郎……そして槇寿郎が祝えるのは10ヶ月後となる。
「なにはともあれ……杏寿郎さん、改めましてお誕生日おめでとうございます!生まれてきてくださってありがとうございます!」
「兄上、おめでとうございます!また来年もお祝いしましょうね!」
「うむ!俺も生まれてきてよかったと今心から思っている!この日は一生忘れない!」