第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
「あ!杏寿郎さんはここで少しお待ち下さい!」
「まさかのお預けか!ふむ……君がそう言うならば仕方がない。だが腹が減っているので出来る限り早く食べさせてくれ!」
言葉を体現するように杏寿郎の腹の虫が大きな声で泣くものだから思わず笑いそうになるが、待たせるのがしのびなくは杏寿郎の手をキュッと握って頷いた。
「はい!すぐです!私と千寿郎さんがどうぞと言えばお部屋に入ってきてください!」
「なんと?!このまま手を……いや!何でもない!分かった、待っている!」
自分より遥かに小さな手の温もりをもう少し……と欲が出てしまったが、何分まだ想いを伝えていないのだ。
悟られまいと離れていく温もりに名残惜しさを存分に感じながら、笑顔を残し背を向けるを見送った。
(それにしても何があるのだろうか?千寿郎も一緒のようであったし……作りすぎたのか?いや、あの2人に限ってそのようなことはなさそうだが)
「「どうぞ!」」
様々な考えを巡らせていたところ待ち望んでいた2人の声が聞こえ、杏寿郎は好物に思いを馳せ喜び勇んで居間へと足を進めた。
「「お誕生日おめでとうございます!」」
「む?!……今日は5月10日……俺の誕生日か!」