第10章 ※湯けむり旅情
「杏寿郎君の笑顔が何より大好きです。ずっとこうして見ていたいくらいに大好き。ずっとずっと笑顔でいてください、私は杏寿郎君の笑顔を守るためなら何でもします」
まだ起き上がれないので手を頬からスルスルと滑らせ緩やかに弧を描いている唇に触れ、たまにしてくれるように親指でゆっくりと撫でる。
すると下腹部に再び圧迫感が戻り体が反応した。
「あ、あの……ナカで……」
「……無意識な君の行動や言葉は俺を煽って仕方がない。待ってくれ……おさめるので……っ?!……そんなことをしては」
目を瞑り欲を発散させようとする杏寿郎の行為を遮るためには胸元に口付けを落とした。
「抑えないで……私は大丈夫です。んっ、体力には……自信があります。私も……まだ肌を合わせていたい」
見上げてくるの表情は先ほどと同じく熱を帯びており、今まで抑えていた分理性が一気に弾け飛んでそのままの格好を維持し、華奢な体を布団に組み敷いた。
「を前にすると理性とは何か忘れる。……途中で止めてやれないぞ」
「それは私も同じです。止めないで……もっともっと求めて」
「これ以上喜ばせてはいけない……加減してやれなくなる」
この後杏寿郎が加減出来たのかは2人だけの知るところ。
ただ次の日は2人して珍しく朝寝坊したらしい。