第10章 ※湯けむり旅情
3日間温泉地に滞在した後に南下した場所にある新たな温泉地。
ここでも3日間滞在し、今日は最終日で2人してお土産を山ほど腕に抱え駅舎で列車待ちをしている。
「あっという間でしたね。すごく楽しかったので少し寂しい気がしますが、明日からも杏寿郎君が隣りにいてくださるなら幸せに変わりありませんね!」
「うむ!疲れなど感じる暇もないほどに楽しかったな!俺はずっと君のそばにいる。だが少し寂しい気がするならばまたここに来よう!の笑顔のためならば俺も何でもする心積りだぞ?」
周りに人がいようと普段からほぼ変わらない会話をしているので、この2人は会話内容に羞恥心など全くの皆無である。
生暖かい視線を向けられていても気付く様子がないほどに互いしか見えていない……
「ありがとうございます!ではまた今回巡った温泉地に連れてきて下さい!今から既に楽しみで仕方ありません!」
よほど今回の旅行が楽しかったのだろう、は満面の笑みで土産をよいしょと抱え直した。
そんなへ笑顔で頷き返し土産の品を自分の方へと移動してやる。
「ああ!約束だ!その前にこの土産たちを皆に配りに行く楽しみもあるぞ!帰ったら皆の家を巡る旅行だ!」
「はい!それもすごく楽しみです!」
そうこうしているうちに列車が到着し、2人は仲良く寄り添いながらその中へと身を滑らせていった。
……いつしかの任務と同じく弁当を山ほど買いに駅舎に戻ったので、列車内に再び姿を現した2人に乗客が驚いたとかなんとか。