第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
「杏寿郎さん、おはようございます。起きていらっしゃいますか?」
任務後、いつも杏寿郎が部屋から出てくるより少し早い時間を見計らい、がお迎えに赴いた。
普段は起きてくるまで部屋に近付かないようにしているので、いつもと違う行動に怪しまれるかもしれない……と思いつつも千寿郎の後押しもあってこうしてお迎えにやってきたのだ。
「ん?か?起きているぞ。それにしても珍しいな、何かあったのか?」
声は明瞭としており寝起きではなさそうだ。
「いえ、昼餉の準備が整いましたのでご一緒にいかがかと思いまして。お疲れでなければ」
スパーンッ
と勢いよく襖が開いた。
あまりの勢いと、突然目の前に現れた眠気や疲れを一切感じない杏寿郎に驚きながらも、見ているだけで元気を分けて貰えるような笑顔にニコリと笑顔を返す。
「ぜひいただこう!何やら甘い匂いもするが……これはスイートポテトだな!以前に千寿郎が作ってくれたことがあるぞ!さぁ、冷めては申し訳ないので早速行こうか」
なんと匂いだけでと千寿郎が作ったものを言い当ててしまった。
まさかの展開に曖昧な笑顔で返し、促すように背に手を当ててくれている杏寿郎に導かれるまま居間へと足を動かした。