第10章 ※湯けむり旅情
しがみついたままのの体は小刻みに震えており、肩越しに感じる息遣いも浅く果てが近いのだと分かる。
その様子が杏寿郎の欲を高め、刺激を与えたくなくても意志とは関係なくに刺激を与えてしまった。
「んぁっ!ぁ……、はぁっ……んん」
素直な体がそれを流せるわけもなく必死に抑えるようなくぐもった声が響き、杏寿郎は慌てての体を抱き上げて足の間に座らせた。
「更に煽られては体が反応してしまう…… が落ち着くまでこうしているから、ゆっくり温まろう。すまない、いじめすぎてしまったな」
自分を抱き寄せてくれる力は幸せを感じさせてくれるほどに優しく、それだけの行為でもどれだけ自分を大切にしてくれているかが痛いくらいに伝わった。
「私は……本当に幸せなんです。こんなにも杏寿郎君に想っていただき、そばにいて下さることが夢のように幸せです。求めてくださるのも体を反応させてくださるのも……何もかも嬉しい」
そう言って杏寿郎の胸元に頬をピタリと擦り寄せると、いつもより鼓動を速めた心臓の音がの耳を心地好く刺激する。
ただそれだけのことでもの胸に幸せな痛みを走らせ、涙が薄らと瞳を覆った。