第10章 ※湯けむり旅情
「あ、煽るつもりは……少しありましたが……ふ……ぁ。ここだと……誰かに!やっ……ん」
まさかの返答に杏寿郎の動きが止まると、外という非日常的な空間での行為に緊張していたがクタリと胸元にしなだれかかっていった。
その背をゆっくり撫でながら杏寿郎は上気した首元に顔を埋め、洗髪後の独特なクラクラとする髪の香りを目一杯吸い込む。
「が天然でなく自ら俺を煽るとは……思いもしなかった。このままでは本当に抑えが効かなくなる。大人しくここで温まってから部屋に戻ろう」
そう言って杏寿郎はを脚の上から下ろしてやろうと脇に手を差し込んだが、それを拒むようにキュッと背に回されている腕に力が入った。
「イヤ、まだ杏寿郎君から……んっ、離れたくない」
「寂しがることはない。すぐに肌を合わせるので安心してくれ。肩まで浸からなくては温まらないだろう?それにこの体勢は……刺激が強過ぎる」
それはも同じである。
動かしてはいないものの杏寿郎のモノがの秘部に当てられたままなので、少しでも身動ぎすれば互いの体に抑えようのない快楽が走る。
「……で、でも今動くと……気を遣ってしまいます。杏寿郎君のが……温かくてお腹がムズムズしてる……んです」