第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
そして誕生日当日。
予定通り杏寿郎は早朝に帰宅して朝餉を取ってから睡眠に入り、ここからが2人の正念場となった。
昼頃まで睡眠を取るとはいえ、何分準備することが多い。
飾り付けは後回しに、大急ぎで2人で昼餉兼誕生日仕様の調理にかかる。
かと言って騒がしくしてしまっては杏寿郎が目を覚ましてしまう恐れがあるため、迅速かつ丁寧、それでいて静かにとこを進める必要があるのだ。
「さんの進み具合いはどうですか?こっちはあとスイートポテトを焼きあげれば完成ですよ!」
「私もあと炊き込みご飯が炊き上がれば完了です!同じくらいに終わりそうなので……飾り付け担当とご飯担当に分かれますか?」
「そうしましょう!では僕はお料理を担当するので飾り付けをお願いします!そうしたものはしたことがなくて……」
と言った具合に着々と準備が進んで行ったのだが、いつもと違う家の中の雰囲気に疑問を感じた槇寿郎がこそこそと部屋から姿を現した。
背の高さが足りず飾り付けに四苦八苦していたを見兼ねて、飾り付けを手助けしてくれた後、しっかり2人に口止めをして部屋へと戻っていってしまった。
それでも息子の誕生日をほんの少しでも祝おうとしてくれた槇寿郎の姿勢に、2人はこっそり微笑み合ったそうな。