第10章 ※湯けむり旅情
まだまだ興奮冷めやらぬは部屋に案内されてからも休むことなくお部屋探索。
「広いです!あ、お茶とお茶請けも……あっちの部屋は何でしょうか?」
荷物を置いてあっちへこっちへと杏寿郎を引っ張りちょろちょろ動き回っている。
それに怒るわけもなく杏寿郎も杏寿郎で共にお部屋探索に勤しみ、ひとつの部屋に目を輝かせた。
「!露天風呂だぞ!あるとは聞いていたが本当に部屋の中に露天風呂があるとは!することが増えてしまったな、どうする?食事をいただいてから外に風呂を巡りに行くかここに入るか……悩むな!」
「露天風呂ですね!うーん……今日はたくさん歩いたのでお部屋のお風呂にしませんか?広いので一緒に入れそうですし!」
たくさん歩いたのはが要因なのだが杏寿郎がそれを突っ込むわけもなく、ずっとご機嫌なを抱き寄せて一先ず腕の中で落ち着けさせた。
「今日は部屋でゆっくり風呂を楽しむとしよう!共に入れば楽しいだろうが……抑える自信はない。それでも構わないか?」
飛び跳ねてしまいそうなほど喜び興奮していたの体は杏寿郎の言葉によってピタリと止まり、胸の中から顔を出してふわりと微笑んだ。
「嫌なわけがありません。嬉しいだけです」
「そうか!俺も嬉しい限りだ!さて、部屋の探索も終わったので茶を飲んで食事を待たせてもらおう!明日からの予定も立てながらな」
そうして2人は夕餉まで楽しく明日からの予定を立て始めた。