第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
その瞳は無一郎よりも悲しげに揺れ、見ている天元や無一郎、お狐様の胸にチクリと痛みをもたらした。
(惚れた女が理不尽に寿命縮められてんだもんなぁ……にしても、よりによって姫さんに惚れちまうとは……気持ちは分からんでもねぇが、険しい道をあえて進んでんじゃねぇよ)
様々な要因が重なり気落ちしている実弥をどうにかするべく、天元はお狐様を無一郎の膝に預けて酒の入った瓶を手に持った。
「時透は酒飲めねぇから姫さんが持ってきた飲み物持ってこい!不死川もいつまでもしみったれてねぇで猪口持て!天元様がついでやる!」
無一郎はお狐様にあまり興味が沸かないのか……近くにいるにこっそり明け渡して飲み物を取りに行ってしまった。
「えぇ……お狐様泣いてんじゃねぇか!姫さん!お狐様慰めてやってくれ!」
「な、慰めるとは?お狐様、どうされたの……杏寿郎君、撫で撫でしてあげて下さい!お狐様の涙が止まりません!」
「何と!ヨシヨシ、何も泣く必要はないぞ!も俺も感謝しかしてないのでな!」
泣かせてしまった張本人は全く意に介せず天元と実弥の隣りに素知らぬ顔で座り、なぜか元気のない実弥を元気付けるために他の柱たちを呼び寄せる始末だ。