第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
神様なのに人間である天元に叱られてしまったお狐様は、怒るどころか耳をペタンと頭に張り付け、いつも元気に揺らしている尻尾を力なくタランと垂らしてしまった。
「悪気はなかったんだ。あんないい子がどうしてって気になって……失った命を僕が戻してあげられたらよかったけど、それだけは出来ないんだ」
まさか神様がしょぼくれるなんて思いもしなかった天元は何だか途轍もない罪悪感に見舞われた。
……見た目が可愛らしい狐の姿なので余計にそうなったのだろう。
「いや、まぁ……神様にも色々あんだろ。それに姫さんはその事については自分なりに折り合いつけて受け入れてんだ。ま、加護とやらで見守ってやって……」
「宇髄さん、ちゃんの寿命が短くなってるって知ってたの?僕は初めて聞いたけど!」
お狐様を元気付けようと笑顔を向けたところで、無一郎がズイと身を乗り出してきた。
珍しくその瞳は悲しげに揺れている。
「姫さんとは長い付き合いだからな。文献見つけたのも俺だし、そりゃあ知ってるだろ。胡蝶はもちろんとして……不死川も知ってんじゃねぇか?さっきから動揺してる様子ねぇし」
「……俺が知ったのは偶然だ。任務で傷が出来たんでなァ……たまたま胡蝶に薬もらいに行ったら、そんな話してたんだよ」