第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
そうして心做しか綺麗になったように映る本殿へ辿り着き、意気揚々と杏寿郎の肩から飛び降りたお狐様に導かれ中へと移動した。
初めこそ杏寿郎とを除く全員が
『本殿で飲み食いして罰はあたらないのか?!』
と戦々恐々としていたものの、ここの神様であるお狐様が率先して飲食物を所望したので僅か数秒で賑やかに忘年会兼新年会が行われた。
年を越して少し経った頃、ちゃっかり女子の元を渡り歩いていたお狐様はフサフサな尻尾をピンと伸ばしての膝の上に鎮座する……嫌に真剣な表情で。
「どうされましたか?まだお酒もありますし……あ、お揚げさんもありますよ!何かご希望のものがあれば」
「後でいただくよ。それよりお嬢さん、前から聞きたかったんだけど……お嬢さんはどうして何年も寿命を失ってるの?」
お狐様には寿命の話はしていない。
それでも知っているということは……やはり神様だからなのだろう。
「えっ……と」
どう答えたものか……と考えていると、温かな手が肩を抱き寄せてくれて胸の中へと誘ってくれた。
それと同時に本殿の中がその事実を知らなかった者たちの声で溢れかえってしまった。