第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
「……おい、煉獄。不死川ってもしかしなくても姫さんのこと」
「それは俺が答えていいものではないので答えられない。君が何か感じ取ったのなら、俺やではなく本人に直接聞くしかあるまい」
さすがの天元も聞いていいことと聞いてはいけないことの区別はつく。
どう頑張ったとしても実ることの無い実弥の想いは、本人の中で消化するしかないと分かっているから。
「やめとくわ。笑えねぇからかいはただの嫌がらせにしかなんねぇからな。お前と姫さんを冷やかすのとは訳が違う……」
「……その考えもどうかと思うぞ?あの子はいつまでも初心なので、愛らしい反応をつい引き出したくなる気持ちは分かるがな!」
天元としては初めの頃のように杏寿郎にも焦って欲しいのだろうが、婚約してからというもの冷やかしは全く効果がなくなってしまった。
「お前にも初めみたいな反応返してほしいんだけど……姫さんだけに顔真っ赤になられると罪悪感沸くんだよ。まぁ姫さんの表情コロコロ変わんの見るのは楽しいがな!」
「そうだろう!しかしあの子と屋敷で初めて遭遇した時は今では信じられんくらいに表情が乏しく、いまいち感情が把握出来ない不思議な少女だったぞ!俺の生家に来て数日でそれも解消されたので、元々感情表現が豊かな子だったのだろうな!」