第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
「実弥お兄さん!お久しぶりです!舞を見せてくださった日からお顔を見ておりませんでしたので、私も杏寿郎君も門下生の皆さんも心配していたんです。体調を崩されていたのですか?」
そんな突然現れた実弥にも驚くことはないもやはり柱の1人に違いないのだろう。
そして実弥の心配に関して、と杏寿郎たちとでは全く意味合いが違ってくる。
は純粋に体の心配をしていたが、杏寿郎たちは何と言うか……ほんの少し心の心配をしていたのだ。
実弥もそうだろうと思っていたので煉獄家へ赴こうにも気が引けてしまい、ついにこうして年末を迎えてしまった次第である。
(お前に会っちまったら気持ちがザワつくんだよ!ったく……人の気も知らねぇで心配そうな面しやがって)
心の中で悪態をついたとしても、心配そうな表情で歩み寄ってくるに不思議と笑顔を向けてしまうのは、好きになってしまった者の性だろう。
「たまに爽賴よこしてたじゃねぇかァ……だが心配させちまって悪かった。お前に言われた通り、俺も色々頑張ってたんだわ」
目の前に来たの頭をポンと撫で、殊更優しい笑みを浮かべる実弥に違和感を感じたのは天元だった。
……表情と言うより天元が気になったのは心音だったが。