第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
天元の手に持たれていたのは重箱。
何が……など聞かなくても中に入れるものと言えば食べ物だと決まっているのであえて聞かない。
「なるほど!お狐様と共に新年を祝えるように気遣ってくれたのだな!、有難くいただくとしよう!念の為、飲み物を持ってきておいて正解だったな!」
そろそろ落ち着いてきたを胸元から解放し、天元も見覚えのある少し歪な肩掛け鞄を杏寿郎が背中から前へと移動させる。
歪にも関わらず強度は折り紙付き、が最終決戦で大量の薬を持ち運んでいたあの鞄である。
「……はい!天元君、お狐様にお渡しするお酒の他にも皆さんが飲めるように何本かお酒を持ってきたんです。私は無一郎さんとラムネかお茶を嗜みますが」
カパッと杏寿郎によって抱えられている鞄の蓋を開けて天元に中身を見せると、天元が引くくらいに飲み物が敷き詰められていた。
よく鞄がはち切れないな……と思うほどに入っている。
「その鞄どうなってんの……?ま、酒はありがてぇ!姫さんも成人したら一緒に飲もうぜ!確か来年だったか、姫さんが成人すんの」
「はい!3ヶ月後に成人致します!お館様のお屋敷で舞を舞った少しあとですね。飲んだことがないので、実は少し楽しみにしているんです」