第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
「不安はございませんが……愛でていただけるのは嬉しいです」
小さな小さな声にも関わらずやけに杏寿郎の耳にしっかり聞こえ、まさかの返答に杏寿郎の体温も一気に上昇してしまった。
しかし今から元柱たちが続々と集まってくるので、どうにか熱をおさめなくては……そろそろ現れると予測される者に何を言われるか
「おぉ、おぉ。お前ら相変わらずお熱いねぇ!天元様の耳は驚くほどいいんで、そこら辺で止めてもらわねぇと直視出来なくなるぜ?」
やはり現れた。
いつもどこかで待機していて頃合いを見計らって姿を現しているのではないか?と思えるほどに素晴らしい頃合いで出てくる。
「それはが悲しんでしまうので困るな!ところで奥方たちは一緒ではないのか?てっきり一緒に行くものとばかり思っていたのだが」
予定通り現れた天元によって体の熱が一気に引いた杏寿郎は、自分の胸の中でプルプル震えているを抱きすくめたまま辺りを見回す。
いくら見回してもいると思っていた嫁たちの姿は見つからなかった。
「いやな、俺も誘ったんだよ。姫さんも来るから一緒に行こうぜって。でも来なかったんだ。元柱たちだけで行ってきてくれってよ。代わりにこれをって渡されたんだが……」