第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
「お疲れ様でした!皆さんすっかり上達していて嬉しい限りです。今日はこれで……」
『ありがとうございましたぁ!師範代、お疲れ様です!』
いつもはこんな事がないのに門下生たちはの言葉を途中で遮って勢いよく頭を下げ、我先にと道場の出入口へと走り去って行ってしまった。
はキョトンである。
「……杏寿郎君と実弥お兄さんの手合わせが見たかったのでしょうか?あれ?でもまだ手合わせを続けていらっしゃる……?そう言えば張り詰めた雰囲気だったような!」
稽古前の2人の張り詰めた空気を思い出したは慌てて自分も出入口へと向かい、既に庭で観戦しているであろう門下生たちのどよめきに肩をビクつかせながら様子を伺った。
「小規模自然災害が起きています!技まで使用して……一体何が……と、止めなくては!」
庭が広いと言えど庭には違いない。
修練場ではないので木や小さな畑、池などがあるのでこのままでは荒れ放題になってしまう。
それに2人は互いに上弦の鬼を相手取るかのような気迫で、一切の加減も感じられない高威力の技を出しているのだ。
2人のただならぬ様子には半泣きになりながら飛び出して行った。